BioJapan2012は1986年の初開催から14回目の開催となり、国内最大級のバイオ関連分野の展示会で、 国内外より500を超える多数の最新技術を持つベンチャー企業/大学/研究機関から大手企業まで幅広く出展されました。PhysioDesignerは沖縄科技術大学院大学様と大阪大学様の新学術領域の２つのブースで出展されました。
新学術領域では心臓の分子レベルから心臓の電気活動レベルまでの実験的、計算的成果が掲示されており、その中でも特にPhysioDesignerは大きくスペースを割いて展示されました。 沖縄科技術大学院大学では約50あるユニットの中から代表として4ユニットの成果が展示されており、その4ユニットの中にOpen Biology Unitといわれるものがあり、その研究開発成果としてPhysioDesigner、Flint K3、Docking simulation system、iPathways+が展示され、その中でPhysioDesignerに焦点をおかれて展示されました。またFlint K3 は，シミュレータFlintのクラウド対応のシミュレーションシステムであり、これを用いることによりPhysioDesignerで作成したモデルのハイパフォーマンスシミュレーションをどこにいても実行することが可能となります。
このようにPhysioDesignerは異なる２つのブースにおいて大きくスペースを割いて展示・紹介されており、重要な位置付けのアプリケーションとして扱われました。
10月11日には沖縄科技術大学院大学の北野宏明教授によるセミナーが開催され、沖縄科技術大学院大学の代表としてPhysioDesignerを含めた創薬サポート技術として開発中の全体のアプリケーションについて講演がありました。 講演では生体レベルの階層的なモデルを作るためのPhysioDesigner、シミュレータFlint、クラウド対応FlintであるFlint K3、サブセルラーレベルのモデルを作成するためのCellDesigner、PathwayモデルをオンラインでシェアするためのiPathways+、これらのアプリケーションの総合運用性を高めるためのGaruda Allianceについて紹介されました。これらの技術を用いることで分子レベルから生体レベルまでの全身代謝循環の全体のシミュレーションが可能になってきています。 そして、アメリカのFDA(U.S. Food and Drug Administration)、沖縄科技術大学院大学、大阪大学の新学術領域、SBI(システム・バイオロジー研究機)、東京大学医学部附属病院などが連携して抗がん剤の心毒性検査のプロジェクトが進められており、来年の2月には成果発表が予定されており期待が高まっています。PhysioDesignerはますます重要な位置付けであることを実感できるものとなりました。
また、将来的にPhysioDesignerの扱うモデルは大きくなるので、シミュレーションを実行するのに「京」のようなハイパフォーマンス計算機が必要になると考えられています。この「京」は理化学研究所のブースに展示されており、予測医療に向けて貢献が期待されているPhysioDesignerに関わる多階層シミュレーションにおいても、シミュレータであるFlintの「京」対応の開発が始まっています。これが完成すれば、PhysioDesigner上で開発された任意のモデルを、Flintを用いて「京」上で超並列のシミュレーションを行うことが可能となります。現在は「京」用に特殊なプログラムを書く必要があることを考えると、これは非常に画期的なアイデアであり技術です。技術的な意味において「京」をもっと手軽に使用することが可能となります。
PhysioDesignerは統合的生命科学の発展のために様々な分野で、貢献・発展し続けています
大阪大学新学術領域の出展ブース
図1
図2
関連リンク
1.PhysioDesigner
2.沖縄科技術大学院大学
3.大阪大学の新学術領域
4.CellDesigner
5.Garuda Alliance
